備忘付録(?) 堂平のバンビーノ
東日本であの未曾有の大災害が起きたちょうど2日前、
その前日の膝下までの積雪が残る東丹沢をスノーハイクするひとりの登山者がいた。
おそらく森林組合の関係車両が残したであろう深い雪の輪立ちが残る塩水林道から
彼はなんの躊躇もなく真っ白な分厚い絨毯の敷かれる森林地帯へと足を踏み入れたのだった。
この時の彼の勢いときたら、日本百名山として名高い丹沢山をピークハントするつもりときてる。
自前のアイゼンで軽快に林道を登り、途中で姿を見せる「弁天杉」を眺めて暫し立ち止まる。
東丹沢県民の森の深い雪に足を踏み入れた彼を歓迎するかのように3頭の子鹿が現れた。
ここからすぐ先は堂平のブナ林、きっと冬場の少ない食料を求めてやって来たのであろう。
「おい、シカか? ウマ? おい、シカ、おいっ」
誰もいない状況はわかっていた恥ずかしい登山者の彼はシカたちに話し続ける。
「うまっ しかっ」
シカたちも何がいいのかって、その掛け声が届く度にツンと立てた耳をピクッピクッと。
静かな山奥で微動だにもしない彼と子鹿たちのこの不思議ちゃんな交信はあきれるほど続いたらしい・・・
ピークまであと2キロ、幾重にも連る砂防ダムを越えた地点まで来た彼に待ち受けていた厳しい現実、
想像以上の深い雪に足を取られ、それ以上先の登頂アタックが困難になってしまったのだ!
もういい?
そうさ、キャラ疲れと軽装備な自分の愚かさに恐れをなして逃げ帰ったのさぁ~♪
※教訓:平日はきちんと仕事しろ。くわばらくわばら
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